知っておきたい銀行の知識-当座預金と普通預金

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

会社が通常開設する預金としては、当座預金と普通預金があります。

普通預金は、預入金額の範囲内であれば、
通帳と届出印鑑の押印および所定の払戻請求書の提出により、
いつでも払戻しが受けられ、普通預金金利がつきます。

最近では、預け入れ、払戻し、振込に、
法人用キャッシュカードによるATM利用ができるようになっています。

これに対して当座預金は、
会社が金融機関に対し手形や小切手の資金の支払いを
委託する場合、その原資として金融機関に
預け入れる預金のことをいいます。

つまり、会社が手形や小切手の決済を目的として
金融機関に開設する口座であり、
法令により預金金利はつきません。
当座預金には、通帳が無く、毎月銀行から計算書が送られてきます。

では開設に必要な手続きはどうなっているのでしょうか?
普通預金や当座預金を開設するには、
まず、金融機関との間で当座取引契約を結ぶ必要があります。

会社は登記簿謄本や印鑑証明を金融機関に提出し、
口座開設の手続きをとります。
業務内容や信用状態に問題が無ければ口座開設となり、
当座預金の場合には、小切手帳や手形用紙が交付されます。

ただし当座預金については、便利な反面、残高不足だった場合には、
振り出した小切手や手形が不渡りとなり、
銀行はその小切手・手形の換金を拒絶することになります。
ひとたび不渡りになると、会社の信用に傷がつくばかりでなく、
6ヶ月以内にもう一度不渡りを出せば、銀行取引停止となり、
事実上の倒産になるというリスクもあるわけです。

そのため当座預金の開設にあたっては、
長年の取引実績とともに信用の積み重ねが重視されます。
実績のない会社はまず断られると考えていいでしょう。
つまり、会社にとって金融機関に開設した当座預金口座は
信用のひとつのバロメーターでもあるわけです。

なお、預金残高が不足していても、
一定の限度額の範囲内であれば小切手や手形の決済が可能な
「当座貸越」という便利な制度もあります。
この場合あらかじめ口座を開設した銀行との間で
当座貸越契約をむすんでおく必要があります。

設立間もない小さな会社では開設が難しい当座預金ですが、
一定規模になれば利用することもありうるわけで、
ぜひ知識として持っておいてください。

江連祐治税理士事務所お問合せ