減価償却費って何だろう?~その3

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

減価償却費についておおよそ理解していただけたでしょうか?2014-4-1

それでは年度途中における固定資産の取得や
売却についてはどうしたらよいのでしょう?

その年の1月に取得する、あるいは12月に売却するのなら、
減価償却費計算は年単位でかまいませんが、
それ以外は月割計算にします。

年度途中で取得する場合の減価償却費は、
1年分の減価償却費 ÷ 12 × その年の残りの月数
となります。

逆に、年度途中で売却や破棄ならば、
1年分の減価償却費 ÷ 12 × その年の当月までの月数
となります。

取得価額が10万円未満または
使用可能期間が1年未満の少額減価償却資産については、
取得時に必要経費として算入できます。
また取得価額が20万円未満の資産は年度ごとに一括して
3年間で償却する方法を選択できます。

ただし、2003年4月から2014年3月の間は30万円未満
2006年以降は、年間300万円が限度となります。

減価償却資産の残存価額というのを
聞いたことがあるのではないでしょうか?

定額法でも定率法でも、
対応年数分の償却費を計上し終えると、
取得価額の約10%が未償却分として残ります。
これを「残存価額」といいます。

実際には、対応年数以上その資産を使用することもあり、
その場合には取得価額の95%まで、
つまりあと5%分まで減価償却費に繰り入れることができるのです。

なお2007年4月以降の取得資産については、
備忘価額1円を残して全額償却可能となります。

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減価償却費って何だろう?~その2

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

前回のおさらいになりますが、
減価償却費を計算するにはまず「取得金額」を出し、
減価償却資産の耐用年数表により求めた「耐用年数」と
耐用年数から割り出した「償却率」(定額法または定率法)
に基づいて計算します。

では中古の資産についてはどうでしょう?
たとえば中古の車などを購入した場合、
減価償却できるのでしょうか?

もちろん、新品と同じというわけにはいきません。
対応年数表は新品の資産を対象にしていますが、
中古資産を取得した場合には、
それに見合った耐用年数を定めることで
減価償却費として算入できるのです。

それでは中古の資産の対応年数はどうなっているのでしょう?
次のふたとおりの場合が考えられます。

その1
取得時点で法定耐用年数の全部を経過した資産については、
「法定耐用年数 × 20% = 中古資産の耐用年数」
となります。

その2
法定耐用年数の一部を経過した資産の場合には、
(法定耐用年数 - 経過年数) + (経過年数 × 20%)
= 中古資産の耐用年数
となります。

ただし2年未満の場合は2年とし、
それ以上の期間の1年未満の端数は切り捨てとします。

なお、減価償却の方法には
「定額法」と「定率法」があるとお話しましたが、
定率法を選択する場合には、
あらかじめ税務署に届け出ておくことが必要です。

定額法とは、
毎年の償却費が同額となるように償却していく方法で、
取得価格 × 対応年数に応じた償却率 = (1年分の)減価償却費
となります。
(2007年3月以前取得資産については
取得価額に0.9を掛けた金額で計算します)

定率法とは、
最初の年度により多く償却し、年度ごとに少なくしていく方法で、
(取得価額 - 前年までに減価償却した累計額)
× 対応年数に応じた償却率 = (1年分の)減価償却費
となります。

2007年3月以前の取得資産には旧償却率が適用され、
2007年4月以降の取得資産には新償却率が適用されます。
新定率法による償却額の計算には
ほかに保証率による調整が必要になります。
また定率法の償却率は定額法のそれの2.5倍相当率となっており、
2011年4月以降の取得資産については2倍となります。

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減価償却費って何だろう?その1

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

気になる「費用」の中で
特にわかりにくいもののひとつが「減価償却費」だといえます。

長期にわたって利用する資産を固定資産といいます。
年々その価値が減少していくもの
たとえば建物や自動車はもとより、
特許権や営業権のような無形の固定資産も含まれます。
このようなものを「減価償却資産」といいます。

そしてこれらは、その長い使用期間からいって
取得時に全額を経費とするのは妥当とはいえません。
そこで、毎年一定の率だけ必要経費として計上する方法が
認められています。

この方法が減価償却であり、
各期間において必要経費として計上される金額を
「減価償却費」といいます。

減価計算は年度末の決算時において行われるのが一般的です。

ここで注意しなければならないのは、
減価償却資産となるものならないものがあることです。

減価償却資産となるものには
事務所、店舗、作業所、倉庫などの建物、
エアコン、エレベーター、照明施設などの建物付属設備、
庭園、橋、塀、広告塔などの構築物、
自動車、オートバイなどの車両運搬具、
プレス機などの工具や応接セット、パソコンなどの備品、
特許権、商業権、営業権などの無形資産、
その他船舶や牛馬、果樹なども含まれます。

ただし、
土地や電話加入権、骨董品などは減価償却資産とはなりません。
また、使用可能期間が1年未満のものや
取得価格が10万円未満のものも含まれません。

減価償却費を計算するにはまず「取得金額」を出します。
次に必要なのは「耐用年数」です。
そして対応年数から割り出した償却率によって計算されますが
「定額法」を選択するか「定率法」を選択するかによっても
経費に算入できる金額が変わってきます。

「取得金額」にはその購入代金や製造原価はもちろん、
引取運賃や購入手数料などの取得のためにかかった費用、
あるいは据付費用など、実際に使用可能な状態にするために
かかった費用も加算してかましません。

次に「耐用年数」ですが、
実際の使用可能期間はまちまちでしょうが、
税法で種類や品目ごとに使用に耐えうる期間というのが定められています。
これを「法定耐用年数」といい、
減価償却費はこの年数に基づいて計算されるのです。

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