決算手続きのポイントを押さえよう!-その1-

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

決算では、当期の経費なのにこれから支払うものや、
当期に販売したが締切が到来していないのでまだ請求書を発行していない、
などの当期の会計期間に対応されていない場合があり、
これらを会計期間中に応じた正しい損益計算書(利益計算)にするために
調整を行います。

この手続きを「決算整理」と呼んでいることは前々回お話したとおりですが、
ここでは決算整理についてもう少し詳しくお話ししたいと思います。

1.売上原価を計算および期末の在庫を計算する

通常ですと会計期間内で仕入れた商品が
当期にすべて販売されるということはありません。
当期に販売されない商品は、翌期以降に持ち越して販売することになります。
このような商品を「繰越商品(在庫)」といいます。

決算では在庫をカウントして、
当期に販売した売上高に対応する原価を算定します。

この在庫をカウントすることを「棚卸し」と呼んでいます。

2.費用・収益の調整を行う

売上以外の収益や仕入以外の費用の勘定科目への入力は、
現金や預金で収入があったときや支払ったときに行われます。

しかし、会計期間中の取引には、
当期に支払ったけど翌期以降の費用であるもの
当期の経費なのにこれから支払うもの
当期に受け取ったけど翌期以降の収益であるもの
当期の収益なのにまだ受け取っていないもの
など当期の会計期間に対応されていない場合があります。

そのような場合には、正しい利益計算を行うために、
決算のときに翌期以降に該当するものを増減して調整させます。

3.減価償却を行う

土地以外の資産で、建物や車輌、備品などは、
期間の経過や使用により古くなってその価値が減少していきます。

そこで決算時には、
その資産の耐用年数にわたって費用に計上することになっています。
これを「減価償却」といいます。

そして、減価償却により計上された費用を「減価償却費」の勘定科目で表示します。

4.貸倒引当金を設定する
5.現金過不足を整理する
6.税金に関する調整
については、またの機会にお話ししたいと思います。

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知っておきたい! 簿記の基本的なルール

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

そもそも簿記の目的とは、
日々の営業活動で行った財産の変動を継続的に記録すること、
決算日においての会社の財産状態を貸借対照表をつくって明らかにすること、
会計期間においての会社の経営成績を損益計算書をつくって明らかにすること、
主にこの3つと考えてよいでしょう。

「会計期間」とは、会社の財産状態や経営成績を
一定期間に区切って計算していくための期間のことで「事業年度」ともいいます。
会社の会計期間は、通常は事業年度の初日から末日(決算日)までです。
1年以内でも自由に設定することもできますが、1年間が一般的です。

簿記の基本は、
日々の取引を誰が見てもわかるような項目、すなわち「勘定科目」にまとめ、
それらを「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の5つのグループに分類し、
貸借対照表と損益計算書を作成することです。

「貸借対照表」とは、一時点における会社の財政状態を表したもので、
「資産」「負債」「純資産」で構成されています。

「資産」とは、
会社の経営に役立つ金銭や将来金銭などで受け取ることのできる権利(債権)のことで、
すなわちプラスの財産だと考えてください。
資産の主な勘定科目には、現金、当座預金、売掛金、貸付金などがあります。

「負債」とは、
将来金銭等を支払ったり、返済しなければならない義務(債権)をいい、
すなわちマイナスの財産だと考えてください。
負債の主な勘定科目には、支払手形、買掛金、預かり金、借入金などがあります。

「純資産」とは、
資産の総額(プラスの財産)から負債の総額(マイナスの財産)を差し引いた、
会社の正味財産を表すものです。
純資産の主な勘定科目は、資本金や繰越利益余剰金です。

「繰越利益余剰金」とは、設立から当期の決算日までに稼いだ利益で、
当期の利益および過年度の利益をたしたものになります。

「損益計算書」とは、一定期間における会社の経営成績を表したもので、
「収益」と「費用」により会社に利益が出ているか
あるいは損失が出ているかをみていくものです。

「収益」とは、会社の営業活動の結果、どれだけ儲けたかを表したもので、
収益の主な勘定科目は、売上高、受取利息、雑収入などがあります。

「費用」とは、売上をあげるために必要な経費や
会社を経営維持していくうえで必要な経費を表します。
主な勘定科目には、仕入高、給与手当、通信費や旅費交通費、地代家賃、
事務用品費、租税公課、雑損失などがあります。

もちろん会計ソフトを利用すれば、
難しい簿記の仕組みを知らなくても帳簿はつけられますが、
最低限の会計用語や基本の簿記のルールは知っておいたほうがよいと思います。

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帳簿書類の記帳の流れを知ろう!

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

記帳の流れのポイントは大きくわけてつぎの3つになります。

ポイント1  日々の取引を記録すること。

通常、帳簿記入の手続きは、

「取引→仕訳→転記」の順序で行われます。

この仕訳を記入する帳簿書類を「仕訳伝票」といい、

これには「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3つがあります。

「入金伝票」には現金が入金されたときの動きを、

「出金伝票」には現金が出金されたときの動きを記入します。

現金の出入金以外のすべての動きは「振替伝票」に記入しますが、

「入金伝票」「出金伝票」を使わずに振替伝票のみで、

会社の取引のすべてを記録することもできます。

 

つぎに、

振替伝票に仕訳した金額を「総勘定元帳」に設けたいろいろな項目

すなわち「勘定科目」に転記します。

総勘定元帳は、勘定科目ごとの金額の増減を計算したり、

残高や集計を行ったり、試算表や決算書の数字の根拠となる

重要な帳簿であるため、「主要簿」と呼ばれています。

 

ポイント2  試算表をつくること。

総勘定元帳のすべての勘定科目について、集計した合計や残高を、

「試算表」と呼ばれる一覧表にまとめていきます。

(通常これは月1回くらいのペースで行えばよいでしょう。)

 

ポイント3  決算書を作ること。

試算表に決算整理を加えて、「貸借対照表」と「損益計算書」を完成させます。

 

以上が記帳の流れの基本となります。

もう一度、実際に記入する際の手順をおさらいすると次のようになります。

ます、取引を仕訳して振替伝票に記載します。

次に、振替伝票に記載した内容を総勘定元帳に転記します。

更に、1ヶ月間の総勘定元帳の動きを集計して、差引残高や合計を計算します。

そして集計した総勘定元帳の各勘定科目を残高試算表に転記します。

最後に、決算整理の処理後の試算表の数字から、

会社の財産を表す項目を貸借対照表に、

利益計算を表す項目を損益計算書に転記します。

 

いかがです?おわかりになりましたか?

これらを作成するためには、ある程度の簿記の知識があることが望ましいでしょう。

一つ一つの取引を振替伝票へ仕訳する転記の作業を繰り返して、

最終的に会社の経営の成績表ともいえる「貸借対照表」と「損益計算書」

(まとめて決算書といいます。)を手書きで作成するため、

かなり煩雑で事務量もたいへんな負担となります。

 

ですが、帳簿をつけていないときちんと申告できないばかりか、

会社の利益を計算することもできません。

逆に言えば、経営基盤がしっかりしていて業績のよい会社は、

帳簿もきちんとつけているということがいえると思います。

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