接待交際費のポイントを押さえよう

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

「費用」のうちもっとも気になるもののひとつに
「接待交際費」があげられるのではないでしょうか。

事業をスムーズに運ぶためには、
いわゆる「お付き合い」が必要になることもあるかもしれません。

例えば、取引先などの接待の際の飲食代、手土産代、
あるいは取引先などを親睦旅行や観劇に招待した費用、
取引先などへの慶弔費、中元や歳暮などの贈答品代、
同業者組合の会合への出席費用や主催記念パーティーの開催費用
これらが「接待交際費」にあたります。

事業上の大切な人たちとの結びつきを確かにするため
欠かせない出費ではありますが、
あくまでも事業のためということを忘れないでください。

得意先や仕入れ先、その他事業に関係のある人、
例えば同業者、事業協力者、従業員などは対象になりますが、
友人知人でいつか事業の役に立ってくれるかもしれない
というのでは、接待交際費の対象にはなりません。

また、いくら得意先であっても、
事業とのかかわりから大きくはみ出すような費用は、
必要経費とは認められません。

たとえば、
1.得意先の社長の葬儀に香典を持参した。
→ 葬儀や結婚などの慶弔金、病気や
災害などの見舞金は交際費に該当します。
領収書はないのがふつうですが、
帳簿には相手方の名や内容などを明確に示しておきます。

2.得意先の担当者を食事に招きタクシーで送迎した。
→ 飲食代はもちろんですが、
それに伴う送迎交通費も接待交際費に含めて構いません。

それでは、接待交際費はいくらでもいいのでしょうか?

会社の場合には、
税務上、接待交際費を費用にできる限度枠が設けられています。
個人事業では限度枠はありませんが、
すべてが必要経費として認められるわけではありません。

相手方の顔ぶれや接待、交際の理由などからみて、
業務の遂行上必要と認められるものに限って、
経費に算入できるのです。

一般常識からかけ離れた大きな支出や、
十分な理由がない支出に対しては、
税務署からダメといわれるのはもちろんのこと、
どうせ経費で落ちるからなどといって接待を繰り返せば、
事業そのものに大きな負担をかけてしまうことにもなります。

飲食店やタクシーで支払いをした場合、
領収書は必ずもらってください。
しかし、つい忘れてしまったら
経費として計上できないのでしょうか?

いいえ、その場合には、
日付、接待先名、支払場所、金額、領収書をもらえなかった理由
などを書いたメモを作成しておきます。

言い忘れましたが、従業員やその親族への慶弔費は
福利厚生費として扱いますので注意して下さい。

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気になる通信費について

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

気になる「費用」のうち、tuushinnhi
今回は「通信費」についてのポイントをお話しします。

事業に使用した電話や郵便など、
通信にかかわる費用が通信費です。

ファクシミリのように電話料に含まれるもの、
切手、はがき代、封筒代、パソコン通信費、
私書箱の使用料なども含まれます。

年賀状や移転案内状などのように
通信を主とする書状の印刷代も通信費とします。
ただし、不特定多数を相手にするものならば、
広告宣伝費にするのが適当でしょう。

ここで注意しなければならないのは、
宣伝や贈答用に購入したテレフォンカードは、
通信費ではなく広告宣伝費や接待交際費などになるということです。

また、ダイレクトメールは郵便を利用しますが、
目的からいって広告宣伝費とするのが妥当でしょう。

たとえば、
1.郵便切手と収入印紙を現金で購入した。
→ 同じ郵便局で購入しても、
郵便切手は通信費となりますが、
収入印紙は租税公課となるので注意が必要です。

2.前月分の電話料が銀行口座から自動引落しされた
→ 本来は前月分の経費ですが、
水道光熱費と同様に、
支払った時点で経費として記帳してかまいません。

それでは住宅兼用事務所の場合の電話料については
どう処理すればいいのでしょうか?

事業にも家事にも利用する電話の場合、
当然のことながら家事分の料金は必要経費にすることはできません。
使用頻度を事業と家事で比較してみて、
その割合から必要経費となる通信費を算出することになります。

電話料金を事業用の銀行口座から引き落としているような場合、
家事分は「事業主貸」(債権→資産)となりますから、
債権債務記入帳を付けている場合には、
そちらへも記帳しなければなりません。

また、事業専用電話を私用で使った場合には、
その使用分を当事者から徴収することになります。
徴収した現金は、雑収入として計上します。

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