著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治
より多くのお客様に、
自社の商品やサービスを買っていただくためには、
より多くの人に自分の会社のことを知ってもらう必要があります。
その手段のひとつが広告宣伝で、
その活動のためにかかった費用が「広告宣伝費」です。
しかし宣伝のためにかかった費用なら、
なんでも広告宣伝費にできるのかというとそうではありません。
広告宣伝費とは「不特定多数の人」に対する宣伝効果を
狙ったものでなくてはなりません。
それ以外は、別の科目の経費となります。
また広告宣伝の手段には多種多様のものがあり、
内容によっては広告宣伝費とならないケースもあります。
その一方で、パンフレットの郵送料のように
通信費と思えるようなものが広告宣伝費になります。
判断のポイントは、主たる目的が広告宣伝かどうかです。
広告宣伝費となる費用には、
新聞や雑誌などの広告掲載料、
テレビやラジオなどのCM放送料、
ポスターやカタログなどの印刷費や発送料、
看板やネオンサインなどの製作費があります。
見本品や試供品などの製作費、
また展示会などの開催費用も広告宣伝費となります。
ここで注意して欲しいのは、
看板など1つで10万円を超えるものは固定資産となり、
支払時に広告宣伝費として計上しないで、
決算時に本年度の減価償却費として費用に繰り入れます。
たとえば、
1.会社名入りのボールペンを製作費で支払った。
→販売ではなく宣伝を目的とした品物の製作は、
もちろん広告宣伝費となります。
2.看板設置の許可料を1年分支払った。
→1年以上の契約で得た許可料については、
本来ならば月割りにして本年分の費用を広告宣伝費とし、
翌年以降の費用分は「前払費用」として計上します。
ただし、支払日から1年以内の分の前払費用については、
以降も同様の経理処理を継続するならば、
まとめて本年分の広告宣伝費に計上して構いません。
それでは開業前の多額な広告料はどうでしょうか?
通常の広告宣伝費であれば、
費用を支出したときに必要経費になります。
しかし、店舗などで開業前に大々的に宣伝した場合、
宣伝効果が1年以上あるとみなし、
その費用を「繰延資産(開業費)」として扱い、
減価償却をしていく方法をとります。