試算表を作る目的は?決算手続きとは?

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

「試算表」とは、

その月の取引高と書く勘定科目の金額を集計した一覧表のことです。

 

試算表を作る目的は、

日々の取引を記録した振替伝票から総勘定元帳の各勘定科目への転記が

正しく行われたかどうかを確かめることです。

 

最近ではパソコン入力が一般的になり、

転記した内容は自動的に試算表に連動されるので、

転記の確認は必要なくなってきました。

従って、現代における試算表の役割とは、

決算以外の時でもリアルタイムで財産の状況(貸借対照表)と

損益の状態(損益計算書)を表示させることにあるといってよいでしょう。

 

なお、活用する試算表は、

総勘定元帳の各勘定科目の借方と貸方それぞれの合計額と残高を一覧にした

「合計残高試算表」が主流となっています。

 

次に、決算手続きの流れを大まかにみていきます。

 

会社の利益計算は、決められた会計期間(事業年度)ごとに行われます。

そして、その期間中の経営成績と財政状態を明らかにするために、

その会計期間の最終日すなわち「決算日」に帳簿の記録を整理して、

貸借対照表と損益計算書を作成します。

 

このような手続きを「決算」といいます。

 

入力された取引データから連動された試算表をもとにして、

決算整理(修正)事項にもとづく「決算整理仕訳」を入力し、

貸借対照表と損益計算書を作成します。

 

会社は、設立から解散するまで日々活動しています。

しかし経営成績や財政状態を知るために、

人為的に区切った「決算日」で「決算」が行われるのです。

 

しかし、会計期間中の取引には、当期の経費なのにこれから支払うものや、

当期に販売したが締切が到来していないのでまだ請求書を発行していないもの、

などの当期の会計期間に対応されていない場合があります。

 

そこで決算では、

会計期間中に応じた正しい損益計算書(利益計算)を行うために

"調整“を行います。

 

この手続きのことを「決算整理」と呼んでいるのです。

 

決算整理で行わなければいけないのは、

大まかに言うと以下のことと考えてください。

 

1.売上原価を計算および期末の在庫を計算する

2.費用・収益の調整を行う

3.原価償却を行う

4.貸倒引当金を設定する

5.現金過不足を整理する

6.税金に関する事項

 

これらの取引は現金や預金が動く取引ではないので、

入力は振替伝票形式で行うことになります。

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帳簿書類の記帳の流れを知ろう!

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

記帳の流れのポイントは大きくわけてつぎの3つになります。

ポイント1  日々の取引を記録すること。

通常、帳簿記入の手続きは、

「取引→仕訳→転記」の順序で行われます。

この仕訳を記入する帳簿書類を「仕訳伝票」といい、

これには「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3つがあります。

「入金伝票」には現金が入金されたときの動きを、

「出金伝票」には現金が出金されたときの動きを記入します。

現金の出入金以外のすべての動きは「振替伝票」に記入しますが、

「入金伝票」「出金伝票」を使わずに振替伝票のみで、

会社の取引のすべてを記録することもできます。

 

つぎに、

振替伝票に仕訳した金額を「総勘定元帳」に設けたいろいろな項目

すなわち「勘定科目」に転記します。

総勘定元帳は、勘定科目ごとの金額の増減を計算したり、

残高や集計を行ったり、試算表や決算書の数字の根拠となる

重要な帳簿であるため、「主要簿」と呼ばれています。

 

ポイント2  試算表をつくること。

総勘定元帳のすべての勘定科目について、集計した合計や残高を、

「試算表」と呼ばれる一覧表にまとめていきます。

(通常これは月1回くらいのペースで行えばよいでしょう。)

 

ポイント3  決算書を作ること。

試算表に決算整理を加えて、「貸借対照表」と「損益計算書」を完成させます。

 

以上が記帳の流れの基本となります。

もう一度、実際に記入する際の手順をおさらいすると次のようになります。

ます、取引を仕訳して振替伝票に記載します。

次に、振替伝票に記載した内容を総勘定元帳に転記します。

更に、1ヶ月間の総勘定元帳の動きを集計して、差引残高や合計を計算します。

そして集計した総勘定元帳の各勘定科目を残高試算表に転記します。

最後に、決算整理の処理後の試算表の数字から、

会社の財産を表す項目を貸借対照表に、

利益計算を表す項目を損益計算書に転記します。

 

いかがです?おわかりになりましたか?

これらを作成するためには、ある程度の簿記の知識があることが望ましいでしょう。

一つ一つの取引を振替伝票へ仕訳する転記の作業を繰り返して、

最終的に会社の経営の成績表ともいえる「貸借対照表」と「損益計算書」

(まとめて決算書といいます。)を手書きで作成するため、

かなり煩雑で事務量もたいへんな負担となります。

 

ですが、帳簿をつけていないときちんと申告できないばかりか、

会社の利益を計算することもできません。

逆に言えば、経営基盤がしっかりしていて業績のよい会社は、

帳簿もきちんとつけているということがいえると思います。

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