気になる貸倒金について

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

「気になる経費」の話も終盤に近づいてまいりました。2014-8-2

ないに越したことはないのですが、
売掛債権や貸付金が回収不能になった場合には、
「貸倒金」として損失を経費に計上することができます。

売掛金、受取手形、貸付金、未収金、前払金など、
事業上の債権が回収不能、つまり貸し倒れになった場合に
その際に発生した損失は、「貸倒金」として必要経費になります。

ただし、回収されないからと言って、
すぐに貸倒金にしてよいというわけではありません。

貸倒金となるケースには次のようなものがあります。

相手先に会社更生法による更正計画の許可の決定があった場合。
たとえば得意先が倒産し、
売掛金が債権者集会で75%カットと決まった場合
→ 売掛金が100万円だとすると、
75%の75万円を貸倒金として計上します。

相手先の債務超過の状態が相当期間(およそ3~5年)継続し、
再建の回収ができないと認められる場合。
ただし、相手先に書面で債務免除を通告しなければなりません。
その際、一部免除としてもかまいません。

他にも相手先の資産状況や支払能力などから判断して、
債権が全く回収不能であることがあきらかであるなら、
債権全額を貸倒金とすることができます。
ただし、一部だけとすることは認められません。

相手先の支払能力の悪化による取引停止後、
1年経つが売掛金の入金がない場合。
→ 残っている売上債権は
売掛債権の特例により貸倒金として認められます。
なお担保が入っている場合は、この特例から除かれます。

江連祐治税理士事務所お問合せ

損害保険料って何だろう

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

会社に保険?と思われる方もいるかもしれませんが、
火災などの偶発事故にあえば経済的に損失を受けます。
万一の災難から事業を守るためにかける保険が損害保険です。
「損害保険料」は必要経費にすることができます。

資産や商品にかける火災保険料、
営業用車両にかける自動車保険料のほか、
商品の盗難に備えた盗難保険料、
海上保険料なども含まれます。
また同種の共同組合共済の掛け金も含まれます。

なお、災難における保険料でも、
事業主が負担する従業員の労災保険は福利厚生費となります。

例えば、
発送する商品に運送保険をかけ、保険料を支払った
→ 商品や固定資産を購入する際にかかった保険料は、
購入価額に算入しますが、
商品を発送する際に負担する保険料は、
費用として損害保険料科目で計上します。

店舗の火災保険料を1年分支払った
→ 保険の契約期間が1年以内の時には、
年度の途中であっても、
支払保険料の全額をその年の必要経費にして構いません。

但し、この方法を取った場合には、
本年度以降も契約期間1年以内の保険について、
同じ会計処理を継続することが条件となります。

気を付けなければならないのは、長期契約の保険料の扱い方です。
1年以上の保険契約の損害保険料を支払った場合、
月割りにして本年度分の保険に該当する保険料だけが経費となります。
残りは「前払い費用」として計上します。

保険の契約期間が3年以上で、
保険期間満了後に満期返戻金が支払われる損害保険料については、
支払った保険料の額から積立保険料に相当する部分を
必要経費から外さなければなりません。
この部分は「保険積立金」として資産計上します。

保険を上手に活用して、万一に備えてもらえたらと思っています。

江連祐治税理士事務所お問合せ

接待交際費のポイントを押さえよう

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

「費用」のうちもっとも気になるもののひとつに
「接待交際費」があげられるのではないでしょうか。

事業をスムーズに運ぶためには、
いわゆる「お付き合い」が必要になることもあるかもしれません。

例えば、取引先などの接待の際の飲食代、手土産代、
あるいは取引先などを親睦旅行や観劇に招待した費用、
取引先などへの慶弔費、中元や歳暮などの贈答品代、
同業者組合の会合への出席費用や主催記念パーティーの開催費用
これらが「接待交際費」にあたります。

事業上の大切な人たちとの結びつきを確かにするため
欠かせない出費ではありますが、
あくまでも事業のためということを忘れないでください。

得意先や仕入れ先、その他事業に関係のある人、
例えば同業者、事業協力者、従業員などは対象になりますが、
友人知人でいつか事業の役に立ってくれるかもしれない
というのでは、接待交際費の対象にはなりません。

また、いくら得意先であっても、
事業とのかかわりから大きくはみ出すような費用は、
必要経費とは認められません。

たとえば、
1.得意先の社長の葬儀に香典を持参した。
→ 葬儀や結婚などの慶弔金、病気や
災害などの見舞金は交際費に該当します。
領収書はないのがふつうですが、
帳簿には相手方の名や内容などを明確に示しておきます。

2.得意先の担当者を食事に招きタクシーで送迎した。
→ 飲食代はもちろんですが、
それに伴う送迎交通費も接待交際費に含めて構いません。

それでは、接待交際費はいくらでもいいのでしょうか?

会社の場合には、
税務上、接待交際費を費用にできる限度枠が設けられています。
個人事業では限度枠はありませんが、
すべてが必要経費として認められるわけではありません。

相手方の顔ぶれや接待、交際の理由などからみて、
業務の遂行上必要と認められるものに限って、
経費に算入できるのです。

一般常識からかけ離れた大きな支出や、
十分な理由がない支出に対しては、
税務署からダメといわれるのはもちろんのこと、
どうせ経費で落ちるからなどといって接待を繰り返せば、
事業そのものに大きな負担をかけてしまうことにもなります。

飲食店やタクシーで支払いをした場合、
領収書は必ずもらってください。
しかし、つい忘れてしまったら
経費として計上できないのでしょうか?

いいえ、その場合には、
日付、接待先名、支払場所、金額、領収書をもらえなかった理由
などを書いたメモを作成しておきます。

言い忘れましたが、従業員やその親族への慶弔費は
福利厚生費として扱いますので注意して下さい。

江連祐治税理士事務所お問合せ