決算手続きのポイントを押さえよう!-その2-

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

決算整理について、
1.売上原価を計算および期末の在庫を計算する
2.費用、収益の調整を行う
3.減価償却を行う
をみてきました。今回はその続きについて説明していきたいと
思います。

4.貸倒引当金を設定する

「売上債権」(売掛金や受取手形)、「金銭債権」(未集金や貸付金)は、
その相手先の倒産などによって回収できなくなる場合があり、
これを「貸し倒れ」といいます。

そこで毎年決算になると、
あらかじめこれらの債権の残高のうちから
翌期以降に貸し倒れる額を見積もって、
その債権の一部を「貸倒引当金繰入」の勘定科目で
今期の費用に計上しておきます。

また前期に設定した「貸倒引当金」(負債)はいったん減少させて
「貸倒引当金戻入」(収益)の勘定科目に計上します。
貸倒引当金戻入の計上は消費税のかかる収益ではないので、
消費税区分欄は「対象外」とします。

当期の貸倒見積額を「貸倒引当金繰入」(費用)の勘定科目と
「貸倒引当金」(負債)の勘定科目に計上します。
貸倒引当金繰入の計上は消費税のかかる経費ではないので、
消費税区分欄は「対象外」とします。

5.現金過不足を整理する

現金出納帳の現金残高と実際の現金残高が合わない場合、
その差額について、実際残高が多い時は「仮受金」、
実際残高が少ない時は「仮払金」で処理しておき、
原因が判明した時に勘定科目を修正しますが、
不一致の原因が突きとめられなかった場合、
決算時に調整してその差額を「現金過不足」として処理します。

不足が生じた場合は「雑損」多い場合は「雑益」に振り替えます。

これらは消費税のかかる費用ではないので、
消費税区分欄は「対象外」とします。

6.税金に関する調整

決算時には税金についても調整する必要があります。

まず当期の法人税を計上します。

税金の計上は消費税のかかる費用ではないので、
消費税区分欄は「対象外」とします。

なお、東京都で申告を行う法人は、
市町村民税と都道府県民税が1本となって「法人都民税」として申告・納税が行われます。

次に消費税の精算を行います。

期中の入力を税込金額で行っている場合、
会計ソフトの消費税に関する設定において、
経理方法を税込経理から税抜経理に切り替えることで、
「仮受消費税」と「仮払消費税」が自動計算されます。

江連祐治税理士事務所お問合せ

決算書はなぜ必要?いつ行えばいいの?

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

「決算書」はなぜ必要なのでしょうか?

決算が終わると、法人税や消費税の計算を行い「申告書」を作成します。
各税金の計算は決算書の内容を基礎にして計算されますので、
税務申告のときに申告書と一緒に税務署に提出しなければなりません。

また金融機関などに借り入れの申し込みをする際に、
必ず提出しなければならないのが「決算書」と「申告書」です。
特に決算書は返済能力を判断する基準にもなるものです。

そして会社は営業活動で稼いだ利益を、
出資してくれた株主のために配当金として還元したり、
会社ために働いてくれている役員に対して賞与を支給できます。
それらの金額を決定する根拠となるのが決算書に計上されている利益なのです。

他にも新しい取引先と商売を始めようとするときや、
資本金を増やすために新たに出資者を募るときなどにも、
会社の財務内容や業績がわかる書類を求められることもあります。

以上のような理由から、決算書は会社にとって重要な書類となります。
そのための基礎となる日々の取引を記録する経理の仕事は、
とても大切な役割を担っているといえるでしょう。

では決算はいつ行えばいいのでしょうか?

経営活動をより正確に把握したいときは、
毎月の損益の状況がわかる「月次決算」を行います。

株主に対して経営状態を知らせたり、
法人税や消費税などの中間申告をする場合には、
会計期間の途中で「中間決算」を行います。
中間決算は、3ヶ月ごとや6ヶ月ごとで行うのが一般的です。

そして税金の確定申告や株主総会の決議を受けるために
会計期間の終了時点(事業年度末)で「本決算」を行います。

決算書は、決算整理が完了した試算表から
経営成績が表示されている「貸借対照表」と
財政状態が表示されている「損益計算書」に連動されます。

これらは総称して「財務諸表」ともいわれています。

ここで注意して欲しいのは決算整理が終了したら、
パソコンに入力されている当期のデータを印刷する必要があるということです。

総勘定元帳、振替伝票あるいは仕分日記帳、補助元帳は
保存義務がありますので、必ず印刷しておくことが必要です。

江連祐治税理士事務所お問合せ