著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治
「修繕費」というとなんとなくどんなものか想像できるでしょう。
ここでは、そのポイントについて見ていきたいと思います。
店舗や自動車などの固定資産は、
時が経つにつれ本来の有効性、生産性が損われたり、
故障、破損、摩耗などによってダメージを受けます。
その固定資産を修理、補修、改良して
できるだけもとの状態に回復させるための費用が「修繕費」です。
修繕費になる費用には、
建物や店舗の壁面の塗り替え、床や屋根の補修、
窓ガラスの修理費用などです。
また、自動車のタイヤ交換、点検整備の費用も含まれます。
その他、OA機器の保守管理の費用、機械装置のオーバーホール費用など
固定資産の価値を保つためにかける維持管理の費用も修繕費になります。
例えば、
店舗のドアを交換した費用を支払った
→ ドアは固定資産である店舗の一部ですから、
新品に取り換えても修繕費として計上します。
機械装置の修理をして、費用を支払った
→ 同様の修理はこれまでにも2,3年ごとに行っているならば、
金額が多くても短期の定期修理は修繕費に含まれます。
修繕費で気を付けなくてはならないのは、
修理や改良によって固定資産の資産価値が高まったり、
使用可能期間(対応年数)が延長するケースが出てくることです。
その場合には、費用の全額をその年の修繕費に計上できるとは限りません。
修理や改良をすることによって固定資産の価値が増加したり、
使用可能期間が延長することになれば、
その費用は単純な経費ではなく、
その資産を取得した金額に加算される新たな「資本的支出」とみなされ、
加算分については減価償却の対象として年々経費にすることになります。
しかし、実際のところいくら価値が増加したかの判断は
かなりむずかしいものとなります。
一般には以下のような基準によって修繕費と資本的支出を区分します。
修繕、改良などの支出金額が、
資本的支出の有無を問わず20万円未満か?
ほぼ3年以内の周期的な費用か?
前年末取得価額の10%以下か?
イエスなら修繕費とみなして構いません。
支出額の30%と前年末取得価額の10%のいずれか少ない金額が修繕費で、
その他は資本的支出となります。
おわかりいただけましたでしょうか?