知っておきたい福利厚生費

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

誰でも一度は耳にしたことのある「福利厚生費」とは、2014-6-②
従業員が安心して働ける環境をつくるのに必要な費用で、
広い意味でいえば人件費の1つといえるかもしれません。

福利厚生費を大きくわけると、法定福利費と厚生費になります。
法定福利費というのは、
労働基準法、健康保険法、雇用保険法などの法律に基づいて
事業主が負担する社会保険料です。

一方、厚生費は、
定期健康診断や常備医療品など医務や衛生のための費用、
あるいは祝い金や香典などの慶弔費用、
慰安旅行や忘年会などに要した費用です。
スムーズな雇用関係を維持させるための費用
といっていいかもしれません。

このように福利厚生費はかなり幅広い部分があり、
事業主が関連する事柄もありますが、
ほとんどは従業員のための支出のみが経費になるので、
その点は間違えないでください。

例えば、
従業員の母の死去に対し香典をだした場合
→ 常識の範囲内の金額であれば、
慶弔費として福利厚生費に認められます。

従業員が昼休みに使うためのテニスラケットとボールを購入した場合
→ 目的からいって消耗品費ではなく、
福利厚生費に計上します。

ここで気をつけなければいけないのは、
福利厚生の性格をもった費用でも、
内容や状況によっては福利厚生費ではなく、
従業員への給料に含めることになるということです。
この場合、加算した給料額から源泉徴収もしなければなりません。

例えば、
常勤の従業員へ昼食の補助
→現物支給の給与として扱います。
ただし残業や宿直をした人に支給する夜食は、
福利厚生費に計上して構いません。

従業員のために行う慰安旅行、運動会などの費用
→ もちろん福利厚生費ですが、
自己都合による不参加者にかわりに金銭を支給するなら、
その支給相当額の給料があったものとみなされます。

福利厚生費を上手に利用して
スムーズな雇用関係を維持させてください。

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気になる給料賃金と青色事業専従者給与とは?~その2

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

前回の続きになりますが、
青色事業専従者給与とはなんでしょうか?

もし家族が従業員同様の勤務をしてくれるなら、
それなりの給与を支払って当然です。
しかし、白色申告者の場合は、どれほど一生懸命働いても、
年間50万円(配偶者は86万円)までの控除しか認められません。

それに対して、青色申告をしている場合は、
一般常識的な給与を支給でき、
しかもその全額を必要経費として計上することができます。
これが「青色事業専従者給与」です。

あくまでも青色申告の承認を受けていて、
家族を青色事業専従者として届け出なければ、
この特典は受けられませんので注意してください。

さてそれでは誰でも青色事業専従者になれるのでしょうか。
残念ながら条件があります。

まず、青色申告者と生計を一にする配偶者とその親族であること。
次にその年の12月31日において15歳以上であること。
最後に年間6ヶ月以上その事業に専従していること。

以上の3つの条件全てにあてはまる人だけが
青色事業専従者になれるのです。

なお、生計を一にする親族を青色事業専従者にすると
給与を必要経費にできるかわりに、
確定申告において配偶者特別控除や扶養控除の対象から
外れることは知っておいてください。

年間6ヶ月以上の専従とありますが、
年の途中で開業した場合はどうでしょうか?
年末までの期間の2分の1を超えて従事したなら認められます。

またほかに仕事をしている場合でも、
ほかの仕事がこちらの業務を行ううえで従事するのに
妨げにならないなら認められます。

もちろん届出をしたからといって、
給与の金額はいくらでもいいのかというとそうではありません。

届出書に記載した以上の給料や賞与は必要経費と認められませんし、
昇給には記載した昇給基準によらなくてはならず、
変更には改めて届出書の提出が必要です。

少し手間はかかりますがこれらの特典を上手に活用して
会社の運営に役立ててください。

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