著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治
誰でも一度は耳にしたことのある「福利厚生費」とは、
従業員が安心して働ける環境をつくるのに必要な費用で、
広い意味でいえば人件費の1つといえるかもしれません。
福利厚生費を大きくわけると、法定福利費と厚生費になります。
法定福利費というのは、
労働基準法、健康保険法、雇用保険法などの法律に基づいて
事業主が負担する社会保険料です。
一方、厚生費は、
定期健康診断や常備医療品など医務や衛生のための費用、
あるいは祝い金や香典などの慶弔費用、
慰安旅行や忘年会などに要した費用です。
スムーズな雇用関係を維持させるための費用
といっていいかもしれません。
このように福利厚生費はかなり幅広い部分があり、
事業主が関連する事柄もありますが、
ほとんどは従業員のための支出のみが経費になるので、
その点は間違えないでください。
例えば、
従業員の母の死去に対し香典をだした場合
→ 常識の範囲内の金額であれば、
慶弔費として福利厚生費に認められます。
従業員が昼休みに使うためのテニスラケットとボールを購入した場合
→ 目的からいって消耗品費ではなく、
福利厚生費に計上します。
ここで気をつけなければいけないのは、
福利厚生の性格をもった費用でも、
内容や状況によっては福利厚生費ではなく、
従業員への給料に含めることになるということです。
この場合、加算した給料額から源泉徴収もしなければなりません。
例えば、
常勤の従業員へ昼食の補助
→現物支給の給与として扱います。
ただし残業や宿直をした人に支給する夜食は、
福利厚生費に計上して構いません。
従業員のために行う慰安旅行、運動会などの費用
→ もちろん福利厚生費ですが、
自己都合による不参加者にかわりに金銭を支給するなら、
その支給相当額の給料があったものとみなされます。
福利厚生費を上手に利用して
スムーズな雇用関係を維持させてください。