知っておきたい雑費やその他の経費

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

勘定科目が資産・負債・純資産・収益・費用の5つのグループに分類された科目のうちの
「費用」についてお話しは今回で最後になります。

これまでに取り上げたどの経費科目にも該当しないものは、
雑費」として記帳します。

ただし、重要な費用は別の科目を設けるのがよいでしょう。

雑費は本来、発生頻度が低く
事業上の重要性があまりない費用についての科目です。

ですから、そうでない費用は、別な科目を設定します。

たとえば、
業務の一部を外部へ委託したときの費用は、
外注費」となります。

あるいは、
商品の売上を上げるために外部へ支出した費用は
販売手数料」となります。
内容によって接待交際費と認定されるものもあります。

多くの機械のリース料を支払っているのならば、
「リース料」あるいは「動産賃借料」を設けます。

税理士、司法書士などへの顧問料は「支払手数料」、
業務にかかわる打ち合わせにかかる飲食代は「会議費」、
業界紙や事業に関連した雑誌の購読料などは「図書費」、
というように発生頻度が多く、
事業を営む上で重要な費用は別科目を設けましょう。

「費用の増加は借方に、費用の減少は貸方に記入する」
覚えていますか?

実際には、特別な場合を除き費用は減少よりも、
増加つまり借方に記入する場合がほとんどである
ということも覚えておいてください。

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仕訳とはいったいなにか?

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

パソコンで経理処理を行う場合でも、
仕訳のルールは知っておいた方が仕事の理解が深まります。

会社が日々行う経営活動のうち、お金や物が動くことにより、
資産・負債・純資産が変動するような事柄を簿記上の「取引」といいます。
そして、最終的に貸借対照表(財政状態)や貸借対照表(経営成績)を作成するために、
「取引」をいろいろな項目に分類する作業のことを、「仕訳」といいます。

「仕訳」とは、取引の内容を勘定科目と金額を使って表したものです。

取引金額を帳簿などに記入する場合、
左側のことを「借方(かりかた)」、右側のことを「貸方(かしかた)」といいます。

仕訳取引には勘定科目ごとにパターンが決まっており、
借方の金額と貸方の金額は必ず一致します。

勘定科目が資産・負債・純資産・収益・費用の5つグループに分類されることは
すでにお話したとおりですので、
この5つの勘定科目の仕訳取引の増減パターンをみていきましょう。

資産の増加は借方に、資産の減少は貸方に記入する。
負債の減少は借方に、負債の増加は貸方に記入する。
純資産の減少は借方に、純資産の増加は貸方に記入する。
収益の減少は借方に、収益の増加は貸方に記入する。
費用の増加は借方に、費用の減少は貸方に記入する。

つまり、勘定科目の増減のパターンは上記の10パターンになるわけです。

繰り返しになりますが、借方の金額と貸方の金額は必ず一致します。

では実際に仕訳を行う手順はどうなっているのか?
まず、それぞれの取引が何の勘定科目に当てはまるかを考えます。
次にその勘定科目が、資産・負債・純資産・収益・費用の
どのグループに当てはまるのかを考え、
その増減により「借方」なのか「貸方」なのかを判断します。
借方・貸方が判断できたら、実際に金額を記入して仕訳を行います。

例えば、8月分の電話代4,500円を現金で支払った場合、
勘定科目の通信費(電話代)、すなわち費用の増加 → 借方に記入
勘定科目の現金、すなわち資産の減少 → 貸方に記入する。
借方(通信費)4,500円、貸方(現金)4,500円
借方と貸方の金額は一致しています。

借方・貸方の科目が複数あるときは諸口(複合)仕訳を行います。

例えば、事務用品45,000円を購入し、
代金の一部30,000円は現金で支払い、残りは翌月支払いとした場合、
勘定科目の事務用品費、すなわち費用の増加 → 借方に記入
勘定科目の現金および未払金、すなわち資産の減少 → 貸方に記入する。
借方(事務用品費)45,000円、貸方(現金)30,000円と(未払金)15,000円、
借方と貸方の金額は一致しています。

手書きの場合もパソコンで入力する場合も
振替伝票の借方と貸方の合計額が一致しているかどうかに注意します。
特に諸口(複合)仕訳の場合はよく確認してください。
パソコン入力の場合ですと、
画面に「貸借差額」とか「バランス」などと表示されますので、
その画面を確認しながら行うとよいでしょう。

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パソコン会計のススメ

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

前回述べましたように、
日々の取引を振替伝票へ仕訳する転記の作業を繰り返し、
「貸借対照表」と「損益計算書」を手書きで作成するのは、
かなりたいへんな作業です。

そこで会計ソフトを使って入力すれば、
むずかしい簿記の仕組みを知らなくても帳簿がつけられます。
パソコンショップの業務ソフト売り場へ行ってみると、
さまざまな種類の経理ソフトが販売されています。

そこで会計ソフトを選ぶときの6つのポイントをお話ししたいと思います。

〈ポイント1〉  帳簿形式で入力できること。

振替伝票形式の入力は「借方」「貸方」の仕訳ができないと入力できないので、
現金出納帳などの帳簿形式で入力できるものがおすすめです。
また、入力できる帳簿の種類もチェックしておくことを忘れずに。

〈ポイント2〉  「摘要」の入力の充実度の高いものを選ぶこと。

よくでてくる摘要をあらかじめ登録することができるか?
また登録した摘要の集計や分類ができるか?
よく使う内容を登録しておけば、何度も入力する手間が省けるので便利です。
その際にはある程度の入力文字数があるものを選ぶとよいでしょう。

〈ポイント3〉  勘定科目に補助科目が設定できること。

たとえば、得意先や仕入先が複数ある場合、
それらごとに「売掛金」や「買掛金」を管理したいときに、
勘定科目に補助設定を行うことで、残高管理まで可能となります。

〈ポイント4〉  消費税に関する設定機能があること。

消費税の申告を行う事業者は、
日々の取引から消費税に関する事項を集計して、納税額を計算する必要があります。
ですから課税取引や非課税取引などを入力・集計できる機能があると便利です。

〈ポイント5〉  コピー用紙に印刷ができること。

ソフトメーカーが指定した用紙でないと印刷できない場合が稀にあります。
そうなると、用紙の購入コストがかかるので、
コピー用紙にも罫線入りで印刷できるかどうかも確認しておいたほうがよいでしょう。

〈ポイント6〉  サポート体制がしっかりしていること。

販売店の会計ソフトのパンフレットをみれば、
上記のことができるかどうかやソフトのシステム機能とデータ処理件数が
書かれているはずですので、チェックしてみてください。
またソフト会社のホームページで調べることもできます。

日々の業務処理で使うものですから、使う人のやりやすいものでないと、
会計処理がストレスになってしまうことと思われます。
「デモプログラム」をダウンロードして、実際に使ってみて決めるのもよいでしょう。

使う人と会計ソフトとの相性の問題もありますので、
一概にどれがいいとはいえませんが、
参考にして相性のいいソフトを選んでいただければと思います。

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帳簿書類の記帳の流れを知ろう!

税理士江連祐治

著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治

記帳の流れのポイントは大きくわけてつぎの3つになります。

ポイント1  日々の取引を記録すること。

通常、帳簿記入の手続きは、

「取引→仕訳→転記」の順序で行われます。

この仕訳を記入する帳簿書類を「仕訳伝票」といい、

これには「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3つがあります。

「入金伝票」には現金が入金されたときの動きを、

「出金伝票」には現金が出金されたときの動きを記入します。

現金の出入金以外のすべての動きは「振替伝票」に記入しますが、

「入金伝票」「出金伝票」を使わずに振替伝票のみで、

会社の取引のすべてを記録することもできます。

 

つぎに、

振替伝票に仕訳した金額を「総勘定元帳」に設けたいろいろな項目

すなわち「勘定科目」に転記します。

総勘定元帳は、勘定科目ごとの金額の増減を計算したり、

残高や集計を行ったり、試算表や決算書の数字の根拠となる

重要な帳簿であるため、「主要簿」と呼ばれています。

 

ポイント2  試算表をつくること。

総勘定元帳のすべての勘定科目について、集計した合計や残高を、

「試算表」と呼ばれる一覧表にまとめていきます。

(通常これは月1回くらいのペースで行えばよいでしょう。)

 

ポイント3  決算書を作ること。

試算表に決算整理を加えて、「貸借対照表」と「損益計算書」を完成させます。

 

以上が記帳の流れの基本となります。

もう一度、実際に記入する際の手順をおさらいすると次のようになります。

ます、取引を仕訳して振替伝票に記載します。

次に、振替伝票に記載した内容を総勘定元帳に転記します。

更に、1ヶ月間の総勘定元帳の動きを集計して、差引残高や合計を計算します。

そして集計した総勘定元帳の各勘定科目を残高試算表に転記します。

最後に、決算整理の処理後の試算表の数字から、

会社の財産を表す項目を貸借対照表に、

利益計算を表す項目を損益計算書に転記します。

 

いかがです?おわかりになりましたか?

これらを作成するためには、ある程度の簿記の知識があることが望ましいでしょう。

一つ一つの取引を振替伝票へ仕訳する転記の作業を繰り返して、

最終的に会社の経営の成績表ともいえる「貸借対照表」と「損益計算書」

(まとめて決算書といいます。)を手書きで作成するため、

かなり煩雑で事務量もたいへんな負担となります。

 

ですが、帳簿をつけていないときちんと申告できないばかりか、

会社の利益を計算することもできません。

逆に言えば、経営基盤がしっかりしていて業績のよい会社は、

帳簿もきちんとつけているということがいえると思います。

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