著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治
パソコンで経理処理を行う場合でも、
仕訳のルールは知っておいた方が仕事の理解が深まります。
会社が日々行う経営活動のうち、お金や物が動くことにより、
資産・負債・純資産が変動するような事柄を簿記上の「取引」といいます。
そして、最終的に貸借対照表(財政状態)や貸借対照表(経営成績)を作成するために、
「取引」をいろいろな項目に分類する作業のことを、「仕訳」といいます。
「仕訳」とは、取引の内容を勘定科目と金額を使って表したものです。
取引金額を帳簿などに記入する場合、
左側のことを「借方(かりかた)」、右側のことを「貸方(かしかた)」といいます。
仕訳取引には勘定科目ごとにパターンが決まっており、
借方の金額と貸方の金額は必ず一致します。
勘定科目が資産・負債・純資産・収益・費用の5つグループに分類されることは
すでにお話したとおりですので、
この5つの勘定科目の仕訳取引の増減パターンをみていきましょう。
資産の増加は借方に、資産の減少は貸方に記入する。
負債の減少は借方に、負債の増加は貸方に記入する。
純資産の減少は借方に、純資産の増加は貸方に記入する。
収益の減少は借方に、収益の増加は貸方に記入する。
費用の増加は借方に、費用の減少は貸方に記入する。
つまり、勘定科目の増減のパターンは上記の10パターンになるわけです。
繰り返しになりますが、借方の金額と貸方の金額は必ず一致します。
では実際に仕訳を行う手順はどうなっているのか?
まず、それぞれの取引が何の勘定科目に当てはまるかを考えます。
次にその勘定科目が、資産・負債・純資産・収益・費用の
どのグループに当てはまるのかを考え、
その増減により「借方」なのか「貸方」なのかを判断します。
借方・貸方が判断できたら、実際に金額を記入して仕訳を行います。
例えば、8月分の電話代4,500円を現金で支払った場合、
勘定科目の通信費(電話代)、すなわち費用の増加 → 借方に記入
勘定科目の現金、すなわち資産の減少 → 貸方に記入する。
借方(通信費)4,500円、貸方(現金)4,500円
借方と貸方の金額は一致しています。
借方・貸方の科目が複数あるときは諸口(複合)仕訳を行います。
例えば、事務用品45,000円を購入し、
代金の一部30,000円は現金で支払い、残りは翌月支払いとした場合、
勘定科目の事務用品費、すなわち費用の増加 → 借方に記入
勘定科目の現金および未払金、すなわち資産の減少 → 貸方に記入する。
借方(事務用品費)45,000円、貸方(現金)30,000円と(未払金)15,000円、
借方と貸方の金額は一致しています。
手書きの場合もパソコンで入力する場合も
振替伝票の借方と貸方の合計額が一致しているかどうかに注意します。
特に諸口(複合)仕訳の場合はよく確認してください。
パソコン入力の場合ですと、
画面に「貸借差額」とか「バランス」などと表示されますので、
その画面を確認しながら行うとよいでしょう。