著者:江連祐治税理士事務所 税理士 江連祐治
信頼性の高い会計データをつくるために、会計書類の作成・保存は必要不可欠です。
会社の利益に対しては、法人税・住民税・事業税が、
売上などの取引に対しては消費税が課税されるため、
税務申告においても帳簿や証憑類の作成・保存が義務付けられており、
これらにもとづいた決算書により税額を計算することになっています。
ここで注意しなければならないのは、
たとえ赤字の会社であっても税務申告は必要となることです。
(ただし、消費税については申告納税が免除される場合があります。)
『法人は現金出納帳やその他の必要な帳簿を備え、
その取引に関する事項を整然とかつ明瞭に記録し、
その記録にもとづいて決算をおこなわなければならない』
と法人税法により定められています。
また「青色申告」の承認を受けた法人は、
決算書の作成を「複式簿記」の方法でおこなわなければなりません。
青色申告とは、納税者の記帳習慣を確定させるための制度で、
あらかじめ納税地の所轄税務署長に「青色申告の承認申請書」を
提出しておかなければなりません。
青色申告者には税制上の特典が設けられており、
その代表的なものに「欠損金の繰越控除」があげられます。
これは当期発生した赤字は翌期以降7年間に発生した利益から相殺できるというものです。これにより黒字が出た事業年度の法人税等の税額を減らすことができるため、
ほとんどの法人が「青色申告法人」となっています。
簿記による記録の方法としては、単式簿記と複式簿記の2通りがあり、
お金の出入りのみを記録する「単式簿記」に対して、
お金の出入りとその目的を同時に記録する方法を「複式簿記」といいます。
消費税を申告する際に「原則課税」を適用し仕入税額控除を受けるためには、
課税仕入等の事実を記載した帳簿と請求書等の両方を保存する必要があります。
税込の支払額が3万円未満の場合には請求書等の保存は必要でなくなり、
必要事項が記載された帳簿の保存のみでよいとされています。
なお、帳簿書類の保存方法は、原則として紙による保存となります。
したがって、パソコン等で作成した帳簿書類についても、
原則として印刷した紙により保存する必要があります。
帳簿書類の保存期間について、次のようになります。
商法での保存期間は
原則として すべて10年
税法での保存期間は
帳簿 7年
決算関係書類 7年
現金預金取引等関係書類 7年
その他の書類 5年
実務では、過去にさかのぼって必要となるので
永久保存してもらいたい重要書類は
決算書、申告書、定款、登記関連書類、免許許可関連書類、
不動産関連書類、その他重要な契約書・申請書・届出書など
消費税の仕入控除と税務調査を考慮すると
7年間保存すべき帳簿書類は
総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳、
売上帳、仕入帳など
棚卸帳、決算に関して作成した書類
取引相手からの請求書、領収書、注文書、契約書
と、なります。
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